リメンバーNeoMag通信 【電池の基礎シリーズ(3)】
2012年12月配信
1.二次電池が注目される背景
2008年9月のリーマンショック以来、各国政府は大規模な金融・財政政策を実施して事態の収拾に躍起となってきました。この危機に対して米国に登場した民主党のオバマ大統領は、政策の重要な柱に「大きな発展が期待できる新たな産業の創出が必要である」として「グリーンニューディール政策」を打ち出しました。ここでいう新たな産業とは、地球環境を維持し、人類の持続的な発展に貢献する産業です。そして、これを契機に世界の産業政策の趨勢は地球環境保護に向けて大きく舵を切ったといえます。
地球環境保護の柱となる産業分野の1つがエネルギーです。温室効果ガス排出量の削減にはエネルギー源を石油、石炭などの化石燃料から太陽光や風力などの自然エネルギーを利用した発電に転換することが有効です。しかし、自然エネルギーの出力は天候に左右され大きく変動するため、そのままでは利用しにくいエネルギー源です。この変動を平準化するうえで電力貯蔵機能のある二次電池が注目されるのです。二次電池のこの機能の本質は時間、空間を隔てて電力の利用を可能にすることです。この機能をフルに活用することで既存電力網の高効率化を目指したスマートグリッドが構想されています。さらに、日本では昨年3月11日に福島における重大な原子力発電所事故が発生し、安全な電力エネルギー源の確保の観点からも自然エネルギーの導入拡大が重点政策となり、ますます二次電池の重要性が増してきています。